固い殻の中で
長い歳月をただじっとしていたのでは
ないのです。
土の中の幼虫としての機能は
空飛ぶ羽へと変化し
樹の汁を吸う管へと変化し
そんな大それた
自分でも何がなんやら
分からない不安を誰にも訊けず
叫んでも、誰も応えてくれない
暗闇の中で
それでも悶々と変化は止まらず
這い出し、眩しい陽の光を浴び
風に撫でられ
ああぁぁぁぁぁぁ・・・と
叫んだ瞬間、
今まで守られてきた殻は不要となる。
別物になるのは、自然の定め
虫なおもって殻を脱ぐ
いわんや人間をや