赤いふくろの中は
空っぽではなく
赤い丸いミニトマトのような
玉が入っていた。

ばあちゃんは、ほおずきのその赤い玉に
爪楊枝で小さな穴をほがして
中の種を上手に出した。

小さな風船のような赤い玉。
舌の先に乗せて上顎に押しつけて
そっとつぶすと
ブィーブィーと音が鳴った。

ばあちゃんは、普段は普通なのに
何でそんなことを知ってるのか、
何でそんなことが出来るのか、
まったく予期せぬ言葉を放ち
行動を取り、
すべて綺麗におさめた。

白い死装束を、母も知らぬ間に
自分で縫っており、
綺麗に棺に入っていった。

母は今年もほおずきを飾る。
暗い仏壇に灯がともる。

もうすぐ、お盆。

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