カーテン屋さんに足を運んだのは、
何十年ぶりでしょう。
カーテンの掛け替えのため
生地を選びに行きました。
こんなに色とりどり、
たっぷりの布地を目にするのは
滅多にあることではありません。
家の中にあって
光と風を感じさせるもの、
それがカーテン。
太陽の光を避ける生活
外の空気を入れない生活
それは外界とのつながりを遮断する毎日を
選択していることでもあります。
窓を開けて
そよ風を肌に感じ、
光を部屋に通しながら、
淡い影の中で
日々の営みを慈しんでいく。
内と外のゆるやかなつながり。
カーテンの開け閉めは
繋がりの度合いを
自分で調節している動きなんだと
気がつきました。
時にカーテンは
強烈な自己表現にも使われます。
『風と共に去りぬ』の
スカーレット・オハラのように。
『サウンド オブ ミュージック』の
マリアのように。
ドレスの生地を入手できなかった彼女達は、
窓辺を飾るカーテンをはずして
自らの手で洋服に縫い直して身に纏い、
外の世界に飛び出し
挑んで行ったのでした。