「救急外来の紹介状を出しましょう。
 10分で書きますから、お待ちください。」

突然の激しい目眩・吐き気・腹痛を訴えて
私の肩に手を掛けながらよろよろと歩く夫を
タクシーに乗せ、
町のかかりつけ医に診てもらう。

脳溢血?
脳梗塞?
緊急入院?
半身マヒ?

グルグル不安が巡る待合室の午後。
周囲の空気が薄くなってくる。

「目を開けると部屋が揺れる」と言う彼の手を
そっと握って、さらに救急病院へ。

診察、脳のCTスキャン、点滴。

朝ごはんを、いつものように一緒に食べて、
コーヒー飲んで、
五月晴れの爽やかな空を窓越しに眺めながら
彼はPCに向かい、私は本を読んでいたのに。

え?
これからどうなるの?

そうか、こうやって日常って崩れていくんだ。

幸い、CTの画像に異常は見つからず、
目眩と吐き気止めの2種類のお薬を5錠ずつ、
薄い袋に入れてもらって
夜には帰宅することができました。

頬に赤みをさして
すっすっと静かな呼吸をしている
夫の寝顔を見ながら思います。

「神様は今日、何のメッセージを伝えたかったのだろう?」

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